超マニア向けボーダーツーリズム「中ロ国境(ハバロフスク・撫遠)を渡るには」
7月中旬、ウラジオストク在住の日本人から、とても珍しいボーダーツーリズムの報告がありました。極東ロシアのハバロフスクからアムール河(黒龍江)を船で渡って中国の撫遠という町に行ったそうです。..
7月中旬、ウラジオストク在住の日本人から、とても珍しいボーダーツーリズムの旅の報告がありました。極東ロシアのハバロフスクからアムール河(黒龍江)を船で渡って中国の撫遠という町に行ったそうです。
ハバロフスクは、極東ロシアのアムール河(黒龍江)とウスリー河の合流地点にある都市です。そして撫遠は、その対岸にある中国黒龍江省の国境の町です。この地は、1960年代後半に中ソ両国が国境紛争のために起こした戦争の舞台に近い場所でもあります。そのようないわく付きの土地ですが、両国は2000年代に入り、「フィフティフィフティ」の原則に基づき、国境画定に至りました。
最近になって、中ロ両国民以外の一般の外国人もこの国境を渡れるようになったのです。
とはいえ、この国境を渡った日本人は、これまでほとんどいなかったと思います。今回、彼は仕事でハバロフスクを訪ねていたのですが、視察も兼ねて、そのまま鉄道でウラジオストクに戻るのではなく、中国国内を通って帰ることにしたのです。そのため、ハバロフスクの対岸の撫遠に船で渡り、そこからバスで黒龍江省東部の主要都市ジャムス(佳木斯)に出て、牡丹江、绥芬河と移動し、ロシアに戻りました。
以下、彼の話を聞きましょう。
「ハバロフスクの郊外に、アムール川の中国行き船乗り場があります。ウスペンスキー教会から徒歩10分弱の場所です。ここからロシアを出国します。中国行きのチケットもここで購入します。基本的に、日本人は中国への入国は15日以内に限り、ノービザですから、事前にビザの手配は不要です。料金は片道3150ルーブル。
船は1日2便、午前9時頃と午後3時頃に出るようです。私が船乗り場に行くと、そこには70人ほどの中国人、7~8人のロシア人がいました。日本人は私だけです。
出発の30分ほど前に入口が開き、①切符②パスポート③登録票(船会社チケット窓口が手書き)を見せた後、出国ゲートまで行きます。
約1時間半後、撫遠に着きます。
そこから船内を出る際に、人数確認などのために中国の入管関係者が乗船し、数が揃ったら入国検査に行きます。
ところが、私は入管審査の手前で5名ほどの係官と思われる男たちから『そこに座れ』と言われました。
そして、『何の目的で中国に来たのか。誰と会うのか。どこに住んでいるか』など、15分くらいかけて、さまざまな角度から質問されました。過去に訪れた訪問国なども聞かれました。そして携帯、パソコン、メールなどすべて見られ、所持している現金などもチェックされました。免許証、住基カードなどもコピーを取られました。
これらのことに1時間半くらいかかって、ではすんなり行かせてくれると思ったら、中国人の長蛇の列の最後に並び、ようやくのことで入国です。ここまでしごかれたので、入国審査自体はすぐに終わりました」
日本人がこの地に姿を見せることが珍しいせいか、彼は中国側の入国係官にずいぶんしつこく尋問されたようです。
「私はウラジオストクで働く日本人ですから、ロシアから中国、中国からロシアへと国境を渡ることに関して、ビザの問題はまったくありません。とはいえ、私が中国に入国すると、今回に限らず、中国のイミグレーションでたいてい30分くらいは事情聴取されます。私に何か問題があるというより、綏芬河や琿春、撫遠といったロシア国境を通って日本人が入国してくるということ自体がめったにないこともあり、彼らにとって注意対象となるようです。
それは彼らにとって深刻な問題というより、所詮ここらは中国の辺境で、田舎なので、珍しい日本人の来訪を面白がるようなところがあり、わざと事を大げさにしている雰囲気があります。ですから、私でなくても、日本人なら誰でも多かれ少なかれ似たような境遇になるはずです」
彼のボーダーツーリズムの旅についてのさらに詳しい話は、以下の記事を参照ください。
超マニア向けボーダーツーリズム「中ロ国境(ハバロフスク・撫遠)」を渡った日本人の話
第3回ロシア国際ウラジオストクマラソン参加者募集中!
今年4月30日より、成田からのフライトが毎日運航になった極東ロシアのウラジオストクで、9月23日に第3回ロシア国際ウラジオストクマラソンが開催されます。..
今年4月30日より、成田からのフライトが毎日運航になった極東ロシアのウラジオストクで、9月23日に第3回ロシア国際ウラジオストクマラソンが開催されます。
ウラジオストクってどんな町? 多くの人はきっとそう思うでしょう。
ひとことでいえば「日本にいちばん近いヨーロッパ」です。
極東からモスクワへ延びるシベリア鉄道の始発駅として、19世紀末の帝政ロシアが建造した港町です。近隣アジアの国々の町とはまったく異なる景観、ヨーロッパの都市そのものが、そこにはあります。しかも成田からのフライトは2時間弱。驚くほど近いんです。
ウラジオストクの様子については、いま鋭意制作中の以下のページをご覧ください。
ウラジオストク(ロシア)-日本にいちばん近いヨーロッパ
http://border-tourism.jp/vladivostok/
さて、マラソン大会を主催するウラジオストク市政府が運営サイトによると、種目と参加資格は以下のとおりです。
①男女42.2kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:6時間
②男女21.1kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:4時間
③男女5kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:2時間
④子供1kmコース
6歳~13歳の男女(両親の同意必要) 制限時間:1時間
国際ウラジオストクマラソン公式サイト(なんと日本語版あり!)
http://jp.vladivostokmarathon.ru/
コースは上記の地図のとおりですが、ウラジオストク中心部の金角湾に面した中央広場をスタート。2012年秋のAPECのときに完成した金角橋を渡り、しばらく海岸沿いの道路を走ります。そして、世界最長の吊り橋のルースキー大橋を渡ると、極東連邦大学のあるルースキー島がゴール地点です。ふたつの大吊り橋から眺める海と島々は美しいのひとことです。ちなみに、参加者は約5000人だそうです。
以下はその日のスケジュール。
6:00 – 8:00
スタート・パッケージの配布(中央広場)
9:00
スタート42 km (ルースキー島のリング)
10:15
スタート 21 km(水族館への曲がり角から1キロ、極東連邦大学方向)
11:10
スタート 5 km (カリニナ通り、281番)
15:00
車両通行の再開
15:30
表彰式
同大会の日本側窓口を担当しているのは、ウラジオストクにある旅行会社「アルファイオメガ(Альфа и Омега)」の宮本智さんです。
アルファイオメガ(Альфа и Омега)
ロシア、ウラジオストク市アケアンスキー通16番地
イズムルートショッピングセンター1階
TEL: 7(国番号)-9146871179
E-mail: alfaiomega888@gmail.com
エントリー期間は、2017年4月1日~9月14日(必着)とのこと。参加希望の方はもちろん、同マラソン大会に関心のある方は宮本さんに連絡ください。
彼の制作しているウラジオストク情報満載のウエブサイト「ウラジオ.com」でも、同マラソン大会を紹介しているので、参考にしてください。
ウラジオ.com
http://urajio.com/
9月のウラジオストクは、残暑のきつい日本に比べ、とても清清しくマラソンに最適の季節だそうです。
ウラジオ国際マラソンへ楽々手続き(不明点は何でも問合せ下さい)!
http://urajio.com/news/marathon
ハバロフスクから中国に船で渡る「中露国境紀行2017」ツアー募集中
この夏、中ロ国境を越える面白いツアーがあります。1969年には両国の武力衝突まであったアムール河(黒龍江)とウスリー川の交差するハバロフスクから中国黒龍江省撫遠に船で渡ります。..
この夏、中ロ国境を越える面白いツアーがあります。1969年には両国の武力衝突まであったアムール川(黒龍江)とウスリー川の交差する極東ロシアのハバロフスクから中国黒龍江省撫遠に船で渡ります。スケジュールは以下のとおり。
両国の国境線が画定したのは2004年で、08年にロシア側が実行支配していたアムール川の中州の「黒瞎子島(ヘイシャーズ島)」半分を中国側に引き渡しました。現在、中国側では国境観光の地として空港もでき、観光客が訪れています。
このツアーを企画したのは北海道大学教授で、国境地域研究センターの岩下明裕先生です。
国境地域研究センター
http://borderlands.or.jp/
同研究センターでは、これまでもスペシャルな北東アジアと日本の周辺に位置する国境ツアーを企画してきました。
この国境地帯については、以下の昨年末のNHK報道を参照のこと。
ロシア・中国国境 かつての係争地は今(NHK2016.12.14)
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2016/12/1214.html
以下は、ツアー担当者および岩下先生のコメントです。
「今年はいよいよ中露の最大の懸案だった国境地域を訪れます。中露国境紛争の地域へ、いままで入れなかった所へ入ります。
ロシア側の国境、カザケヴィチェボ村を訪問し、中国の対岸烏蘇鎮の国境を遠望します。またこのカザケヴィチェボ村で村の人々とランチをいただきます。地域の博物館訪問も予定しています。国境に生きる人々の暮らしも垣間見える旅になるかと思います。
ロシア領の国境へは「観光ビザ」と「許可証」を取得し入ります。その許可証取得に2ヶ月もかかります。
一方の中国側国境烏蘇鎮へも参ります。中国側は国境画定から観光地として発展してきました。許可証などは不要です。
中露両国の国境越えは、今年は両国の国境となっているアムール川・黒龍江を船で渡り国境を越えます。
国境画定から今日までの中露の歩みは全く違っています。その違いも中露の国のそれぞれ今を写し、面白いものがあります」
岩下先生のコメント
「これはアムール川に最後まで残っていた係争地ヘイシャーズ島の現在をみるもので、今回初めて、ロシア側も中国側もこれまで長年メディアにさえ公開されていなかった場所(昨年HBC北海道放送が初めて入れましたが)に観光で入れる許可をとって実施できる、世界的にもかなり画期的なものです(その分、値段もかなり高いですが)。
係争地だった島が、国境画定の後、どのように安定し、地域の発展とつながっているかを知るためにもっともふさわしい場所への観光というかたちでのご案内となります。
私も同行して解説します」
中国側の関係者に確認したところ、「黒瞎子島は第三国人(中国、ロシア以外)の入境は不可」とのことですが、上記コメントによると、ロシア大使館に申請して、取得に2ヵ月かかるそうです。
料金は33万4000円(2名1室利用)。ツアー定員は15名。募集締切は6月19日まで。
今回のツアーを催行するのは、以下のロシア専門旅行社です。
エムオーツーリスト
http://www.mo-tourist.co.jp
※上の写真は、中国でいちばん早く日が昇る中国最東端のウスリー川の夕日(写真提供:大連金橋国際旅行社)
8月1日からウラジオストクは「ノービザ」渡航が可能になります
今月18日、ついにロシア沿海地方へのノービザ渡航の実現を告げる報道がありました。..
今月18日、ついにロシア沿海地方への「ノービザ」渡航の実現を告げる報道がありました。
実際には、事前にロシア大使館のHPに申請すれば、ウラジオストク空港でアライバルビザが発給されるとのことですが、2017年8月以降、ウラジオストクに8日間の滞在が可能になります。これまでロシアの観光ビザを取得するためには、同国大使館を訪ね、2週間(無料の場合)もかけて手続きしなければならなかったことを考えると、「日本に一番近いヨーロッパ(ウラジオストク)」への旅行がお手軽になったことは確かでしょう。日本人にすれば、そのような手続きを必要とする近隣国は、国交のない北朝鮮以外は存在しなかったからです。
ウラジオ、8月からビザ簡素化=日本など18カ国対象-ロシア(時事通信2017年04月18日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3125423
今回に至る経緯としては、2015年9月にロシア・プーチン大統領が、第1回東方経済フォーラムにおいて極東地域、特にウラジオストクの自由貿易構想を発表したことから始まります。そのため、昨年1月にウラジオストクのノービザ化が実現されるとの憶測が流れましたが、実現しませんでした。
その後、ならば2016年7月からでは、という話もありましたが、やはり実現せず、同年9月の第2回東方経済フォーラムの日露首脳会談の際、安倍首相による極東ロシアへの投資や共同インフラ開発とともに、日本からの渡航者を増やす約束をしたことから、ロシア側もそれに応える必要がありました。
そして、今夏からの日本とウラジオストクの航空路線の増便が決まりました。
4月30日から成田・ウラジオストク線が毎日運航になります
http://border-tourism.jp/bt-journal003/
こうしてあとはロシア側がいつ今回の発表をするか待つばかりだったのですが、ようやくその日を迎えたというわけです。
ただし、実際の空港での運用にあたって現地側の対応の遅れも指摘されています。
ウラジオストクにある旅行会社「アルファイオメガ」社の宮本智氏によると「今年8月からというのは、9月2日~3日にウラジオストクで開催される東方経済フォーラムにおいてロシア側が日本との合意事項の履行を発表できるように、ある意味強引に間に合わせようとしているのだと思われます。実際のところ、地元側では関心度はそれほど高いとはいえません。
現地関係者によると、最初は入国時のロシア側の入管トラブルが起こりそうなので、事後の対応策に苦心しているとのこと。いまウラジオストクには中国や(すでに2014年にノービザとなっている)韓国からの観光客が多く、宿不足の問題があります。日本客が増えることで、さらに問題が悪化することが懸念されています」。
詳細については、以下を参照のこと。今後、新たな動きがあれば、お伝えします。
8月1日からウラジオストクは8日間のノービザ渡航が可能になります
http://inbound.exblog.jp/26806617/
4月30日から成田・ウラジオストク線が毎日運航になります
2017年4月30日から成田・ウラジオストク線が毎日運航になります。さらに、関西国際空港からも週2便が運航されます。…
2017年4月30日から成田・ウラジオストク線が毎日運航になります。さらに、関西国際空港からも週2便が運航されます。
運航するのは、ロシアの航空会社のS7航空(週4便:火木土日)とオーロラ航空(週3便:月水金)です。関西・ウラジオストク線は水、金の運航になります。
S7航空はロシアの国内線に多く運航しているエアラインで、以前はシベリア航空と呼ばれていました。日本航空と同じアライアンスのワンワールド加盟会社なので、マイラーにとってはうれしいエアラインです。
S7航空 https://www.s7.ru/
ちょっと面白いのは、オーロラ航空の使用機材がエコノミークラス70席のボンバルディアDHC8型機で、いまどき珍しいプロペラ機であることです。
オーロラ航空 http://www.uts-air.com/aurora/
極東ロシアへの旅といえば、サハリンもそうです。成田からサハリンのユジノサハリンスクへはヤクーツク航空が2016年5月から週2便運航しています。
ヤクーツク航空 http://interavia.co.jp/news/post-13/
今夏、日本と極東ロシアを結ぶ航空路線が大幅に増便します。極東ロシア観光がどんな新しい姿を見せるのか、要注目です。
中朝露3カ国の国境が見渡せる防川展望台(中国吉林省琿春)
琿春は、中国吉林省の最東端に位置する都市で、ロシアと北朝鮮の2か国と国境を接しています。…
琿春は、中国吉林省の最東端に位置する都市で、ロシアと北朝鮮の2か国と国境を接しています。
長白山(白頭山)の麓近くから中国と北朝鮮を隔てて流れる図們江が日本海に流れ着く先に、「朝ロ友好橋」(中国名「朝俄大橋」*「俄」はロシアの意味)と呼ばれる鉄橋があります。中国からみてこの朝俄大橋の手前までが中国領で、3か国のうち、中国だけが海に面していません。ところが、この場所に展望台をつくって、観光客がのんびり見物にやってくるほどの経済力を有しているのは中国だけです。そのアンバランスさゆえに、中国がどんなにこの地に港湾施設を手に入れたいとしても、ロシアと北朝朝がそれを牽制するという構図もあり、1990年代からかけ声だけは盛んに唱えられていた図們江開発は、いまもなお停滞しています。
ともあれ、3カ国の国境が接する場所は珍しいため(東南アジアにタイ、ラオス、ミャンマーが接するゴールデントライアングルがあります)、吉林省延辺朝鮮族自治州を訪ねた人は、たいてい1日かけて防川展望台まで足を延ばします。
以下、延吉から琿春市街地をへて防川展望台へ。帰り道にロシアに向かう陸路のイミグレーションの琿春口岸を訪ねるドライブコースを紹介しようと思います。
早朝延吉を出て、高速道路ではなく、図們江を横目に見ながら旧道を走るほうが面白いです。朝食をとるため、ドライブインに立ち寄ると、北朝鮮から荷物を運ぶトラックが駐車していました。北朝鮮のトラック運転手たちが朝飯をかきこんでいます。彼らは犬肉のチゲ定食を食べていました。
そこから先は一本道をひたすら走ります。途中道路の左側にロシアとの国境を示す鉄条網が見えます。約20分走ると、防川展望台に着きます。
空が広く、とてものどかな場所です。国境らしさを感じさせるのは、政府が立てた国防の標語を書いた大きな看板くらいでしょうか。土産物屋もあります。
展望台に上がると、中国、北朝鮮、ロシアの3か国が国境を接するポイントが見えました。望遠レンズを使うと鉄橋の写真もかなり大きく撮れます。
北朝鮮領は図們江の向こう側(西側)で遠く離れているためよく見えませんが、手前から左手(東側)に広がるロシア領はよく見えます。鉄道の線路や国境防衛の施設らしき建物も見えます。
この展望台の少し南にある中国領のボーダーから日本海までは約16㎞だそうです。そのせいか、近くにカモメが飛んできました。展望台では中国の観光客が記念撮影を楽しんでいました。
※坊川展望台を最後に訪ねたのは、2012年のことでした。ここまで書いて失望させてしまうのは恐縮ですが、2014年頃からこの国境は外国人の立ち入り禁止になりました。中朝国境は現在の中国からみてとても敏感な地域で、何か不測の時代が起きたとき(たとえば、脱北者や北朝鮮から脱北者を探しに密入国してくる公安と遭遇するなど)、外国人がその場に居合わせたり、巻き込まれたりしたら、世界的なニュースになってしまい、そのような国境管理の不手際を中国側の軍関係者や公安は見せたくないからでしょう。
現地関係者は以下のコメントを寄せてくれています。「(2016年)10月18日から琿春高速鉄道駅から防川風景区までのバスが開通されました。途中に圏河税関など数ヵ所にバス停もでき、移動時間は片道1時間30分で15元です。ただし、圏河税関付近に国境警備の検問所が設置されていて、北朝鮮情勢により外国人は通過できずその場で戻される場合もありますので、訪問際には事前にお問い合わせください」。
一方、中国国内客向けには開放されています。現在の防川国境には、冒頭の写真には写っていない、古代中国を思わせる巨大な展望塔が2014年に建てられ、観光地としてにぎわっています。
というわけで、現在日本人は坊川展望台には行けませんが、その手前に北朝鮮に入国する圏河税関があり、これを見ることはできます。北朝鮮の羅先経済特区へのゲートウェイです。中国からは車やバスで橋を渡って入国します。
また琿春の市街地の東端には、ロシアへのイミグレーションである琿春口岸があります。周辺にはロシアからの観光客を乗せたバスが並んでいます。延吉を起点にこれらを車で訪ねて回ると、だいたい1日のドライブコースになります。
※さらに詳しい内容はこちらのブログ記事参照。
今年こそ、ウラジオストク観光の年になるか
昨年9月末、極東ロシアのに住む日本の友人から、2017年にはウラジオストクへの観光ビザが不要になるという連絡がありました。…
昨年9月末、極東ロシアのに住む日本の友人から、2017年にはウラジオストクへの観光ビザが不要になるという連絡がありました。
「日本に最も近いヨーロッパ」こと、ウラジオストクが来年からノービザになりそうです
その後、12月には日露首脳会談がありましたが、その結果は玉虫色で、いったい両国関係はどうなるのか定かではありません。でも、少なくとも日本政府は極東ロシアへの経済協力を進めたいことは確かのようです。そのためには人的交流が不可欠とのことから、旅行業界へ日本人の極東ロシア観光を積極的に進めるよう要請しています。
旅行業界に「極東ツアー」要請 政府、ロシアとの人的交流を促進
(SankeiBiz2016.10.13)
政府が国内の旅行業界に対し、ロシア極東地域への観光ツアーを強化するよう要請したことが分かった。関係者が12日明らかにした。観光客の往来を通じ、安倍晋三首相が提案した対露経済協力プランの8項目に盛り込まれた人的交流を促進する。旅行各社は11月に担当者を現地に派遣し、ツアーの企画に向けて視察する方向だ。
安倍首相は極東のウラジオストクを「ユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー(玄関)」と位置付けている。政府観光局はモスクワ事務所の開設を目指すが、現状ではロシアへの観光客は限られている。旅行業界は現地の観光資源や需要などを慎重に見極める。
関係者によると、世耕弘成ロシア経済分野協力担当相が9月、ウラジオストクやハバロフスクなど極東地域へのツアー旅行を増やすよう観光庁を通じて日本旅行業協会に求めた。大手旅行会社の幹部は「人の往来が増えれば、モノの動きも活発になる」と話す。
観光庁によると、2014年にロシアを訪れた日本人旅行者は約10万人。約357万人の米国や約271万人の中国と大きな差がある。観光客は首都モスクワやサンクトペテルブルクなど西部に集まり、主な観光シーズンも夏に限られる。旅行各社は視察で現地の観光資源や施設を確認し、日本からの旅行需要をどの程度掘り起こせるか検討する。
対露経済協力の人的交流分野では、政府はすでに閣僚級による交流促進会議の新設やロシアからの訪日客の査証(ビザ)発給要件の緩和などを盛り込んだ具体案を策定している。
【用語解説】ロシア極東地域の観光
帝政ロシア時代の建造物が残るウラジオストクやハバロフスクが主な観光地。ウラジオストクはロシア太平洋艦隊の基地があり、極東地域の経済や文化の中心都市。モスクワまでの約9300キロをシベリア鉄道で結んでいる。ウラジオストクへは日本航空などの直行便があるほか、鳥取県境港市から韓国を経由して向かうフェリーもある。
何はともあれ、こうした情勢の変化はウラジオストク観光にとって明るい展望です。
現地関係者によると、ロシア沿海地方(ウラジオストクを含む地域)を訪れる日本人の数は、ここ数年5000人前後のようです。一方、韓国は2014年にノービザとなって以降、すでに3~4倍に増えているとのこと。
2016年11月現在、ウラジオストク空港に国際線を運航している都市は以下のとおり。日本からは成田のみで、ロシアのS7航空が運航。新潟からは昨年8月まで便がありましたが、9月以降は運休しています。韓国の仁川線が圧倒的に多いことがわかります。
- 仁川:17往復
- 釜山:3往復
- 北京:3往復
- 上海:2往復
- ハルビン:2往復
- 成田:3往復
- 香港:4往復
- プーケット(タイ):1往復
- バンコク:1往復
- 平壌:2往復
※S7航空 (成田・ウラジオストク線を運航するロシア系エアライン)
こうしたことからも、日本も韓国と同様にノービザが実現すれば、旅行市場の拡大が見込まれると考えられます。2015年には4万人以上の韓国人がウラジオストクを訪れたそう。以下の韓国のテレビ番組をみると、彼らの現地の旅行の様子がわかります。若い女性客が圧倒的に多く、「世界で一番近いヨーロッパの街」を気軽に楽しんでいるという印象です。
First Time in Vladivostok [Battle Trip / 2016.07.17]
現在のウラジオストクに関する日本語の情報は、ネット上でかなり収集できるようになっています。
そのうち主なものを紹介します。
まず、選りすぐりの海外旅行プランを紹介する『トラベルプラネット』のウラジオストク・コミュニティ。昨年、数回行われた現地取材のレポートで構成されています。
最強というべきなのが、現地の旅行会社「アルファイオメガ ウラジオストク店(Альфа и Омега)」に所属する宮本智さんが制作した以下の旅行サイトです。ウラジオストクのことをこれほど詳しく紹介している情報源は他にはありません。
同社では、極東ロシアの手配に実績のある旅行会社のJATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)と共同で、昨年から今年の春にかけて、ウラジオストクのスタンプラリーを実施しています。
YOU TUBEで偶然見つけたのは、ロシア人イラストレーターのユーリャさんによるウラジオストク動画レポートです。日本語を話す彼女が町を案内しています。
・北朝鮮レストランに初めて行ってきた!【ロシア・ウラジオストク】
ユーリャさんはこういう人です。
Yurya Blinchik (ユーリャ ブリンチク)公式サイト
ちなみに、以下のブログでも2012年夏に訪ねたときの話をベースにウラジオストクを紹介しています。
ウラジオストク、なかなか面白そうな町だと思いませんか。なにしろ成田からフライト2時間もかからないくらいですから、ぜひ今年の旅行計画に加えていただけるとうれしいです。