昨年9月末、極東ロシアのに住む日本の友人から、2017年にはウラジオストクへの観光ビザが不要になるという連絡がありました。
「日本に最も近いヨーロッパ」こと、ウラジオストクが来年からノービザになりそうです
その後、12月には日露首脳会談がありましたが、その結果は玉虫色で、いったい両国関係はどうなるのか定かではありません。でも、少なくとも日本政府は極東ロシアへの経済協力を進めたいことは確かのようです。そのためには人的交流が不可欠とのことから、旅行業界へ日本人の極東ロシア観光を積極的に進めるよう要請しています。
旅行業界に「極東ツアー」要請 政府、ロシアとの人的交流を促進
(SankeiBiz2016.10.13)
政府が国内の旅行業界に対し、ロシア極東地域への観光ツアーを強化するよう要請したことが分かった。関係者が12日明らかにした。観光客の往来を通じ、安倍晋三首相が提案した対露経済協力プランの8項目に盛り込まれた人的交流を促進する。旅行各社は11月に担当者を現地に派遣し、ツアーの企画に向けて視察する方向だ。
安倍首相は極東のウラジオストクを「ユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー(玄関)」と位置付けている。政府観光局はモスクワ事務所の開設を目指すが、現状ではロシアへの観光客は限られている。旅行業界は現地の観光資源や需要などを慎重に見極める。
関係者によると、世耕弘成ロシア経済分野協力担当相が9月、ウラジオストクやハバロフスクなど極東地域へのツアー旅行を増やすよう観光庁を通じて日本旅行業協会に求めた。大手旅行会社の幹部は「人の往来が増えれば、モノの動きも活発になる」と話す。
観光庁によると、2014年にロシアを訪れた日本人旅行者は約10万人。約357万人の米国や約271万人の中国と大きな差がある。観光客は首都モスクワやサンクトペテルブルクなど西部に集まり、主な観光シーズンも夏に限られる。旅行各社は視察で現地の観光資源や施設を確認し、日本からの旅行需要をどの程度掘り起こせるか検討する。
対露経済協力の人的交流分野では、政府はすでに閣僚級による交流促進会議の新設やロシアからの訪日客の査証(ビザ)発給要件の緩和などを盛り込んだ具体案を策定している。
【用語解説】ロシア極東地域の観光
帝政ロシア時代の建造物が残るウラジオストクやハバロフスクが主な観光地。ウラジオストクはロシア太平洋艦隊の基地があり、極東地域の経済や文化の中心都市。モスクワまでの約9300キロをシベリア鉄道で結んでいる。ウラジオストクへは日本航空などの直行便があるほか、鳥取県境港市から韓国を経由して向かうフェリーもある。
何はともあれ、こうした情勢の変化はウラジオストク観光にとって明るい展望です。
現地関係者によると、ロシア沿海地方(ウラジオストクを含む地域)を訪れる日本人の数は、ここ数年5000人前後のようです。一方、韓国は2014年にノービザとなって以降、すでに3~4倍に増えているとのこと。
2016年11月現在、ウラジオストク空港に国際線を運航している都市は以下のとおり。日本からは成田のみで、ロシアのS7航空が運航。新潟からは昨年8月まで便がありましたが、9月以降は運休しています。韓国の仁川線が圧倒的に多いことがわかります。
- 仁川:17往復
- 釜山:3往復
- 北京:3往復
- 上海:2往復
- ハルビン:2往復
- 成田:3往復
- 香港:4往復
- プーケット(タイ):1往復
- バンコク:1往復
- 平壌:2往復
※S7航空 (成田・ウラジオストク線を運航するロシア系エアライン)
こうしたことからも、日本も韓国と同様にノービザが実現すれば、旅行市場の拡大が見込まれると考えられます。2015年には4万人以上の韓国人がウラジオストクを訪れたそう。以下の韓国のテレビ番組をみると、彼らの現地の旅行の様子がわかります。若い女性客が圧倒的に多く、「世界で一番近いヨーロッパの街」を気軽に楽しんでいるという印象です。
First Time in Vladivostok [Battle Trip / 2016.07.17]
現在のウラジオストクに関する日本語の情報は、ネット上でかなり収集できるようになっています。
そのうち主なものを紹介します。
まず、選りすぐりの海外旅行プランを紹介する『トラベルプラネット』のウラジオストク・コミュニティ。昨年、数回行われた現地取材のレポートで構成されています。
最強というべきなのが、現地の旅行会社「アルファイオメガ ウラジオストク店(Альфа и Омега)」に所属する宮本智さんが制作した以下の旅行サイトです。ウラジオストクのことをこれほど詳しく紹介している情報源は他にはありません。
同社では、極東ロシアの手配に実績のある旅行会社のJATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)と共同で、昨年から今年の春にかけて、ウラジオストクのスタンプラリーを実施しています。
YOU TUBEで偶然見つけたのは、ロシア人イラストレーターのユーリャさんによるウラジオストク動画レポートです。日本語を話す彼女が町を案内しています。
・北朝鮮レストランに初めて行ってきた!【ロシア・ウラジオストク】
ユーリャさんはこういう人です。
Yurya Blinchik (ユーリャ ブリンチク)公式サイト
ちなみに、以下のブログでも2012年夏に訪ねたときの話をベースにウラジオストクを紹介しています。
ウラジオストク、なかなか面白そうな町だと思いませんか。なにしろ成田からフライト2時間もかからないくらいですから、ぜひ今年の旅行計画に加えていただけるとうれしいです。