中朝貿易の町、丹東 国境遊覧船とグルメの2泊3日
1. どんな国境?
中国遼寧省南部に位置する丹東は、中国と北朝鮮の最大の国境の町です。両国の貿易の大半はこの国境を通じて行われており、両国関係を知るうえで重要な地といえます。対岸の新義州とつなぐのが中朝友誼橋(946m)で、その隣に朝鮮戦争で破壊された鴨緑江断橋があります。橋のたもとは公園で、対岸の北朝鮮の町が眺められます。遊覧船もあり、両国の経済発展の違いは歴然としています。断橋の下流に、2015年9月に完成した新鴨緑江大橋があります。全長約2kmの吊り橋です。この橋は未だに開通には至っていません。大橋の近くには、珍しい中朝の陸路の国境があります。フェンス越しに朝鮮の農民や兵士が畑仕事をする様子がうかがえます。
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これが2015年9月に完成した中朝国境に架かる新鴨緑江大橋です
2.丹東はどんなところ?
2015年12月中旬、大連から丹東までを結ぶ高速鉄道「丹大快鉄」が開通しました。おかげで、両都市間の移動が約2時間に短縮され、日帰りが可能になりました。丹東の歴史は新しく、ロシアの南進が顕著となった19世紀後半、山東省などから満洲へ移民労働者が大挙して渡り、各地に華人街ができていったという経緯から清朝が政府を置いたのが1876年。戦前は多くの日本人がこの地を訪れ、「安東遊覧案内図」なる観光マップもつくられました。面白いのが、2016年2月にオープンした「江戸温泉城」です。鴨緑江沿いに立地した天然温泉で、衝撃的なことに5階の露天風呂から対岸の北朝鮮の町並みが丸見えで、湯船に浸かりながら眺望できます。
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高速鉄道で大連から2時間! 日帰り可能になった中朝国境の町、丹東
北朝鮮の町並みが露天風呂から丸見え!? 丹東の「江戸温泉城」にて
3.丹東で味わえるグルメとは?
丹東は中朝を隔てて流れる鴨緑江の下流域にあり、新鮮な魚介類が豊富に捕れることから海鮮料理の店がたくさんあります。なかでも初夏の味覚は、ハマグリのBBQ。炭火で魚や肉と一緒に焼いて食べます。地元の鴨緑江ビールは喉ごし爽やかです。郊外にある北朝鮮の漁船が目の前を行き交うリバーサイドの海鮮レストランは人気です。この町には満洲族や朝鮮族も多く住むため、素朴な地元料理としてトウモロコシのパンや麺、お粥、また朝鮮冷麺の店も多いです。鴨緑江断橋のたもとには北朝鮮レストランが並んでいて、毎晩火曜ショーが行われています。
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4.どんな国境遊覧ができる?
丹東では多種多様な中朝国境遊覧が楽しめます。一般には鴨緑江断橋とそのたもとからの遊覧船が知られますが、郊外にはもっと目を見張る断橋や遊覧船体験が味わえます。まず上流の河口断橋の絶景は印象的です。対岸には北朝鮮の寒村や老朽化した工場などはあり、遊覧船に乗ると、道行く朝鮮の人たちの様子が見られます。いま中朝国境で最もスリリングな遊覧船は、高句麗時代からの城壁といわれる虎山長城の少し上流にある天逸埠頭です。ここから乗る遊覧線は、鴨緑江の中州の朝鮮領を航行するので、ローカルな北朝鮮の農村風景や人々の様子を間近に見られます。満洲国時代の軍港が残っており、そのすぐそばを通ります。