「中国の中の朝鮮」延辺 国境展望とグルメの3泊4日
1. どんな国境?
中国吉林省東部に位置する延辺朝鮮族自治州(以下、延辺)は、ロシアと北朝鮮の2カ国と国境を接しています。「中国の中の朝鮮」と呼ばれるゆえんは、この地に多くの朝鮮から渡ってきた人たちが暮らしているからです。中朝両国を隔てて流れているのは図們江(豆満江)です。延吉から高速鉄道で15分ほどの国境の町・図們に行くと、対岸の北朝鮮の町・南陽が展望できます。そこには図們大橋という国境橋があり、両国の住民や物資を運んだトラックが運行しています。橋のたもとは観光地になっていて、多くの国内客が訪れます。鉄道の国境橋もあります。延辺には北朝鮮から来たトラックも走っています。のどかな農村風景も見られます。図們江沿いには数多くの断橋があります。日本の終戦直前や朝鮮戦争で破壊された断橋は、中朝国境を象徴する風景のひとつといえます。
2.延吉はどんなところ?
延吉には朝鮮民族が暮らしています。街にはハングル表記があふれ、朝市に行くと、キムチや餅、キムパプ、朝鮮料理の惣菜が売られています。中朝国境を流れる図們江(豆満江)の南に位置する咸鏡北道から渡ってきた人たちが多かったことから、この土地の名物は汁なしサムゲタンの「タッコン(鶏飯)」です。市内には北朝鮮から来た若い女性が歌と踊りを見せてくれるレストランもあります。図們江に接する国境の町・図們に行くと、対岸の北朝鮮の町・南陽が展望できます。延吉にある延辺大学では、中国語と朝鮮語を両方学べることから、お隣のロシアをはじめ多くの留学生が学んでいます。
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3.延吉で味わえるグルメとは?
延吉ではさまざまな朝鮮料理が味わえ、冷麺店も多いです。こちらの冷麺は韓国風のように麺のコシは強くありませんが、あっさりスープがほのかな味わいです。咸鏡北道の地方料理が多く、「タッコン(鶏飯)」以外にも、トウモロコシ麺やジャガイモのチヂミ、腸詰にご飯を入れたスンデなどがそうです。朝鮮料理ではありませんが、延辺の羊の串焼きはとてもおいしいです。トウガラシだけでなく、クミンなど数種のスパイスを混ぜ合わせた調味料を付けて食べます。そして、極めつけはなかなか他では味わえない高級な犬肉料理。鍋以外にもいろんな食べ方があります。でも、いちばんおいしいのは、シンプルなホテルの朝鮮風朝食かもしれません。
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4.どんな国境展望ができる?
図們大橋のたもとから南陽を眺めるだけでなく、国境の門の上に上がることもできます。ただし、ここ数年、外国人が上ることが禁じられているようなので、日本語を一切話さず、チケット代の20元を手早く渡して、しれっと上ることをおすすめします。門の上からは南陽までまっすぐ伸びる大橋が見渡せます。橋の真ん中が国境で、ここまでは歩いて行けます。面白いのが、橋の下流の図們江公園から出る国境遊覧イカダです。対岸の北朝鮮領までわずか100メートルに過ぎない河幅なので、スリルがあります。大橋から少し上流に歩くと、日光山公園があり、そこからの南陽の町の眺望も面白いです。2016年夏、南陽は大雨による大洪水で被災しました。その後、急ピッチで復旧が進みました。