中国(吉林省)からバスで行くウラジオストク 4泊5日
1. どんな国境?
中国吉林省東部に位置する延辺朝鮮族自治州(以下、延辺)は、ロシアと北朝鮮の2カ国と国境を接しています。東南アジアの「ゴールデントライアングル(タイ、ラオス、ミャンマー)」と同じ、中朝露3ヵ国が接する珍しい国境地帯です。このツアーのスタートは、延辺の中心都市・延吉から(関西国際空港からの直行便があります。羽田他は仁川経由便利用)。旅のポイントは、いくつかの中朝国境を訪ね、対岸の北朝鮮の町並みを展望すること。そして、陸続きの国境を渡ってロシアへ行くことです。日本のロシア大使館で入国地(クラスキノ)を記載した観光ビザを取る必要があります。
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2.中国側の町・延吉はどんなところ?
延吉には朝鮮民族が暮らしています。街にはハングル表記があふれ、朝市に行くと、キムチや餅、キムパプ、朝鮮料理の惣菜が売られています。中朝国境を流れる図們江(豆満江)の南に位置する咸鏡北道から渡ってきた人たちが多かったことから、この土地の名物は汁なしサムゲタンの「タッコン(鶏飯)」です。市内には北朝鮮から来た若い女性が歌と踊りを見せてくれるレストランもあります。図們江に接する国境の町・図們に行くと、対岸の北朝鮮の町・南陽が展望できます。延吉にある延辺大学では、中国語と朝鮮語を両方学べることから、お隣のロシアをはじめ多くの留学生が学んでいます。
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3.ロシア側の町・ウラジオストクはどんなところ?
延吉からバスで向かう先は、ロシア沿海地方の州都・ウラジオストクです。19世紀末にロシアが建設したシベリア鉄道の終着駅で、日本海を通じた太平洋への玄関口です。町並みは中国より東にあるのにロシアそのもの。港町生まれのウラジオストクの人たちはおしゃれで、日本語を話す人も多くいます。市内にはロシア料理を味わえるレストランやカフェ、アート感覚の雑貨屋、劇場、コンサートホール、ロシア教会などがあり、散策が楽しめます。「日本に最も近いヨーロッパ」と称されるウラジオストクは、成田から直行便でわずか2時間という距離ですが、今回は仁川経由で帰国することになります。
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「浦潮旧日本人街散策マップ」でウラジオストクの日本のゆかりの地を訪ねる
4.国境をバスで越えよう
延辺からロシアまでは鉄道が通っていないため、1日数本走っているバスで国境を越えます。早朝、延吉あるいはロシアとの国境の町・琿春の国際バスターミナルから乗車します。中国を訪れたロシア人たちが大きな荷物を抱えて帰国の途に着く光景を目にするでしょう。彼らと一緒にまず中国のイミグレーションで出国し、次にロシアのイミグレーションで入国手続きします。出入国審査にかかる時間は混雑具合によります。無事、ロシア入国を果たすと、耕作地が延々と続く中国から、湿原と原生林の広がる大地へと風景は一変します。青空の広がる一本道をバスは約4時間かけて走ると、車の渋滞が始まります。こうして夕方までには、ウラジオストク市内に入ります。